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ポーカーは、トランプを使って行うゲーム(のジャンル)で、コントラクトブリッジ、ジン・ラミーと並ぶ三大トランプゲームの一つで、心理戦を特徴とする。 主にアメリカでプレイされているゲームで、賭け事として行なわれる事が多い。プレイヤー達は5枚の札でハンド(役)を作って役の強さを競う。

ポーカーは、ハンドの強さを競うゲームである。相手をフォルドさせれば、ハンドの強さに関わらず勝つことが出来ることから、ブラフ(ベットすることによって弱い手を強く見せて相手をフォルドさせうようとすること)に代表される’心理戦’の占める割合の高いゲームであるという説明がなされる場合もあるが、実際には戦術におけるブラフの要素はそれほど高くない。勝ったときの儲けを大きくし、負けたときの被害を最小にするための総合的な戦術がより重要である。また、他のプレイヤー達の仕種、表情、賭けたチップの枚数等から他のプレイヤー達のハンドの強さを予想し、自分の賭けるチップの枚数を決める。このゲームでは相手を惑わす為に、わざと驚いて見せたり、嘘(いわゆる口三味線)をついたりする事が認められているが、実際のゲームにおいては相手の表情などを読んで自分のアクションの判断にする場面も、巷間信じられているほどには多くない。

共通ルール

以下ではほとんどのポーカーに共通するルールを説明する。

使用するもの

トランプ一組52枚、ポーカーチップ。

通常はジョーカーは使わない。(ワイルドポーカーの項を参照)。

歴史

ポーカーの歴史に関しては幾分議論が必要である。 ゲームの名前は、ドイツのポーヒェン(pochen、「ノックする」の意)というゲームを先 祖に持つ、フランスのゲームポーク(poque)からきていると考えられている。しかしこのゲームが本当にポーカーの先祖であるのかどうかはよくわかっていない。

ポーカーはペルシャのゲームアス・ナス(as nas)に非常によく似ている。アス・ナスはおそらくペルシャの水夫からフランス移民を通じてニュー・オリンズに入ったのであろう。

ポーカーのもうひとつの先祖と考えられているゲームは、ルネッサンス時代のゲームプリメロ(primero)とフランスのゲームbrelanである。イギリスのゲームbrag(=初期のbragg)はbrelanにブラフの要素を取り込んだゲームである。(当時すでにブラフの概念を使ったゲームは他にも存在した)。

これらのゲーム全ての影響を受けて現在のポーカーが形作られた可能性も十分ある。

イギリスの俳優ジョセフ・クロウェルが1829年にニュー・オリンズで行われたポーカーゲームの事を記している。ここに書かれているゲームは、20枚のカードを使って最も高いハンドを作ったプレイヤーが勝 利するというルールで4人で行われた。1843年に出版されたJonathan H. GreenのAn Exposure of the Arts and Miseries of Gambling(G. B. Zieber, Philadelphia)に、ポーカーがニューオリンズからミシシッピの川船によって伝わり、通常ギャンブルとしてプレイされていたのだと記されている。

ポーカーが広まってすぐに、52枚のフルデックを使ってゲームされるようになり、フラッシュの役が導入された。南北戦争の間にドロー・ポーカー、スタッド・ポーカー(手札の枚数が5枚のもの)、ストレート・ポーカーなどを始めとした色々なルールのポーカーが生まれた。その後ポーカーはアメリカで発展を続け、1875年頃にはワイルド・ポーカーが、1900年頃にはロー・ボールとスプリット・ポット・ポーカーが生まれた。他の国、特にアジアへは、米軍基地を通じてポーカーは広まった。

1970年に行われたWorld Series of Poker以来、ポーカー・トーナメントはアメリカのカジノを通じてポピュラーになった。

ハンドの別名

ジョーカーを含まないAから始まるストレートフラッシュ、すなわち同一スートのA,K,Q,J,10をロイヤルストレートフラッシュ(もしくはロイヤル・フラッシュ)といい、独立した役として扱うことがある。このときファイブカードがあれば、それより上位の役として扱うことが多い。

なお、スリーカード(three card)は、日本固有の呼び方であり、諸外国では通用しない。正式にはスリー・オブ・ア・カインドと呼ぶ。スリーカードのランクを含めて表現したい場合はトリプル~と言う。例えば7のスリーカードは、トリプルセブンズ(triple sevens)となる。フォーカード(four card)も同様に日本国内のみで通用する表現である。正式名称は。フォー・オブ・ア・カインドである。フォーカードのランクを含めて表現したい場合は、~フォーズと言う。例えば7のフォーカードはフォーセブンズ(four sevens)である。またクワッドともいう。

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ポーカー・ハンドに関する注意

ストレートにおけるAの取り扱い

ストレート(、およびストレートフラッシュ)では、AはKとも2ともつなげる事が出来る。すなわちA-2-3-4-5もA-K-Q-J-10もストレートとみなされる。しかしQ-K-A-2-3のようにK-A-2を含むものはストレートとはみなされない。

同一の役が出来た場合の強弱

二人のプレイヤーが同一の役を作った場合、以下のようにしてハンドの強弱を決める。

1. まずハンドの「主要部」(ワンペアならペアになっているカード、スリーカードなら三枚組になっているカード)のランクの大小を比較する。
2. それが同じなら、残ったカード(キッカーとも称する)のうち最も高いランクのカードを比較する。
3. 以下順に二番目、三番目に高い札のランクを比べる。
4. これらが全て同じ場合には、引き分けとみなされる。

引き分けになった場合は、賭けられたチップを引き分けて同着一位になったプレイヤー達で等分する。

ハンドの強弱を決めるのはカードのランクだけである。カードのスートは強弱にまったく関係ない。日本の解説書には、スペードのワンペアはハートのワンペアに勝つなどと書いてあるものが散見されるが、これは間違いである。 例えば二人のプレイヤーがロイヤルフラッシュを作った場合には、引き分けになる。

ハンドの強弱をより正確に述べる。

ワンペア、スリーカード、フォーカードの場合

1. まずペア(スリーカード、フォーカード)になっているカードのランクを比較する。
2. この部分のランクも同じなら、残りのカードのうち最も高い札のランクを比べる。
3. 以下順に二番目、三番目に高い札のランクを比べる。
4. これらが全て同じ場合には、引き分けである。

例:AA875>KKA32>KKQ85>KKQ76。

フルハウスの場合

1. まずスリーカードになっているカードのランクを比較する。
2. 次にペアになっているカードのランクを比較する。
3. これらが全て同じ場合には、引き分けである。

(注:ワイルドカードを用いないゲームの場合は、スリーカード側が同一になることはあり得ないため、スリーカードの比較で決着が付く。ただし、コミュニティカードが存在するゲームを除く。)

ツーペアの場合

1. まず二つのペアのうちランクが高いほうペアのランクを比較する。
2. 次に残ったペアのランクを比較する。
3. 次にペアになっていないカードのランクを比較する。
4. これらが全て同じ場合には、引き分けである。

フラッシュ、ストレート、ストレート・フラッシュ、ノーペアの場合

1. 最もランクが高い札のランクを比較する。
2. 以下順に二番目、三番目に高い札のランクを比べる。
3. これらが全て同じ場合には、引き分けである。

(注:ストレートやストレートフラッシュの場合最もランクが高い札のランクが 二人のプレイヤーとも同じならそれ以下のランク札も同じなので、 それ以下の札を比べるまでもなく引き分けである)。

ディーラー

ディーラーに関するルールは、カジノゲームとホームゲームとで異なる。

カジノでは、カジノ側に雇われた専属のディーラーが各ポーカーテーブルに一人ずついて、このディーラーが全てのゲームでカードを配る。

それに対しホームゲームでは、プレイヤーの一人がディーラーを兼ねる。 どのプレイヤーがディーラーになるのかに関して決まったルールは無いが、通常は次の2通りのいずれかの方法でディーラーを決める。

1. 前のゲームにおけるディーラーの左隣りの人が次のゲームのディーラーになる。
2. 前のゲームの勝者が次のゲームのディーラーになる。

どのルールでディーラーを決めるのかは、プレイヤー間で事前に話し合って決める。

またフロップ(コミュニティ・カード)・ポーカーでは、カードを配り始める基準、及び強制ベットを行わせる基準として「DEALER」と記されたプレートをゲーム毎に時計回りで動かして使用することが多い(このプレートのことを「ディーラー・ボタン」とも称する)。

フォルド

ポーカーでは、プレイヤーはゲーム中の任意の時にゲームから降りる(フォルドする、ダウンする、ドロップするとも)事ができる。フォルドしたプレイヤーはそのディールで負けたものとみなされる。

ディールに参加しているプレイヤーで、まだフォルドしていないプレイヤーの事をアクティブ・プレイヤーと呼ぶ。以後そのディールはアクティブ・プレイヤーのみで行なわれる。

フォルドの際そのディールで賭けたチップを取り戻す事はできない。フォルドしたプレイヤーがそのディールで賭けたチップはそのまま残しておき、ディールの最後にそのディールの勝者がそのチップを得る。

チップの取り扱い

チップの種類

チップの種類と、その価値はプレーヤーの間で任意に決めれば良く特にルールはないが、複数の価値のチップを用意することが便利である。海外カジノにおいては、白=1, 赤=5, 緑色=25、黒色=100という単位である場合が多いので、この色と価値を援用する場合も多い。

ポット

ポーカーではテーブルの中央付近を、賭けたチップを置く場所として使う。 このチップを置く場所をポットと呼ぶ。

プレイヤー達は、ポットの中で自分に近い場所に、 他のプレイヤーが賭けたチップと区別がつくように、 賭けたチップを置く。

各ディールの最後に、そのディールの勝者が受け取る時を除いて、 プレイヤー達は一度賭けたチップを再び手もとに戻す事はできない。

アンティ

プレイヤー達は全てのディールに参加する必要は無い。 ゲームに参加する意思のあるプレイヤーは、ディールの初めに ポットに数枚のチップを置く。このチップをアンティと呼ぶ。

アンティに関するルールは、ホームゲームとカジノゲームとで異なる。

ホームゲームの場合、アンティとして置くチップ枚数は事前にプレイヤー間で相談して決めておく(通常はチップ1~2枚)。アンティとして置かれたチップはそのディールの勝者が獲得する。

カジノゲームの場合、アンティとして置くチップ枚数はカジノ側が事前に決めている。アンティとして置かれたチップはディーラーが獲得する。カジノにおけるポーカーゲームで、ゲーム主催者であるカジノ側が得る収入はこのアンティだけである。アンティ以外のチップはプレイヤー間で奪い合う。

ベット

ポーカーではゲーム中、何度かベット(賭け)をする為の期間がある。 その各々の期間をベッティング・インターバルと呼ぶ。 各ベッティング・インターバルは次のように行う。

ベッティング・インターバルはいずれかのプレイヤー(ホームゲームではディーラーの左隣りのプレイヤー)から開始し、左周りに行なわれる。

各ベッティング・インターバルはオープニングベット以前と以後とに分かれる。

オープニングベット以前では、各アクティブ・プレイヤーは自分の番が回ってきたら次のいずれかの行動を取る。

* チェックする。
* フォルドする。
* オープニングベットをする。

チェックとはその回のベットをパスする事である。

チェックをするプレイヤーは「チェック」と宣言する代わりにテーブルを軽く2・3回叩いても、チェックの意思を表す事ができる。多くのカジノでは、プレイヤーがチェックする事を認めていない。チェックは主にホームゲームの場合に使用されるルールである。

フォルドは前述のようにゲームから降りる事を意味する。

オープニングベットとは、ポットに数枚のチップを賭ける事である。

全員がチェックした場合は、そのディールは流れる。プレイヤー達は札を回収して次のディールを開始する。流れたゲームでポットにつまれたチップはそのままにしておく。ポットのチップは次のゲームに持ち越され、次のディールの勝者が、ポットにある前回の分と今回の分の両方のチップを受け取る。

オープニングベットが行なわれた後では、各アクティブ・プレイヤーは自分の番が回ってきたら次のいずれかの行動を取る。

* コールする。
* レイズする。
* フォルドする。

アクティブ・プレイヤーは、自分の番が回ってきたら前のプレイヤーと同額もしくはそれ以上の金額をかけるかフォルドするかしなければならない。

前のプレイヤーと同額のチップを賭ける事をコールと呼び、賭ける金額を吊り上げる事をレイズと呼ぶ。

ベッティング・インターバルは、全てのアクティブ・プレイヤーがコールするまで何周もする。全てのアクティブ・プレイヤーがコールしたらベッティング・インターバルは終わりである。

ポーカー

ブラインド・ベット

フロップ(コミュニティ・カード)・ポーカーでは、上記のアンティを徴収しない形でプレイを行うことが多いが、これでは勝負にならない手を全て降りるという選択が用意されてしまうため、先述のディーラー・ボタンが置かれたプレイヤーから時計回りに2名が、それぞれ1ユニット、2ユニットのチップを強制的に(カードを配る前に)賭けさせられるという決まりが存在する。このときのベットを、「ブラインド・ベット」と言う。

ただし、ブラインド・ベットがあったからといって、アンティがかならず存在しないと言うことはなく、アンティとブラインド・ベットを併用した形のゲームも可能である。

ベットの上限

ゲームが青天井にならないように、通常はオープニングベットおよびレイズの上限値を事前に決めておく(キャップとも言う)。

レイズの上限値には、「一回にチップ10枚まで増やしてよい」といった定額性のものと、「場にかけるチップの量を倍より多くにしてはならない」といった変動性のものがある。また、「現在のポットと同額まで」とする、定額性と変動性を併せ持ったポット・リミットというものもある。

さらに競技や大会においては、上限をそもそも定めないノー・リミットゲームも存在する。

ショー・ダウン

各ディールの最後にアクティブ・プレイヤー達はハンドを公開して互いにハンドを比較しあう。そして最強のハンドを持っているプレイヤーがポットのチップを全て獲得する。

スタッド・ポーカー(オープン・ポーカー)

ファイブ・スタッド(ショート・スタッド)

1. ゲームに参加するプレイヤーはアンティを払う。
2. ディーラーはアンティを払ったプレイヤーに1枚ずつ裏向きに伏せてカードを配る。
3. 各プレイヤーは配られた札を秘密裏に見て元に戻す。
4. 次にディーラーはアンティを払ったプレイヤーに1枚ずつ表向きにカードを配る。
5. 1度目のベッディング・インターバル。
6. ディーラーはアクティブ・プレイヤーに1枚ずつ表向きにカードを配る。
7. 2度目のベッディング・インターバルを。
8. 以下同様に表向きに1枚カードを配ってはベッディング・インターバルに入る。
9. 5枚目のカードを表向きに配り、最後のベッディング・インターバルを終えたら、アクティブ・プレイヤーは裏向きのカードを表にし、ハンドの強弱を比較する。
10. 勝者はポットのチップを全て取る。

ゲーム中各プレイヤーは、下のカードが見えるように順に重ねてカードを置く。

セブン・スタッド(ロング・スタッド)

ゲームの流れはファイブ・スタッドと同様。ただし最初に3枚裏向きに配る。

そして表向きに1枚配ってはベッディング・インターバルを行う。

計4枚のカードを表向きに配り4回目のベッディング・インターバルが終わったら、アクティブ・プレイヤー達は裏向きのカードと表向きのカードをあわせた計7枚の手札から5枚を選び出して公開し、その5枚のハンドの強弱を比較する。

Razz

セブンスタッドと同様。ただし最も弱いハンドを作ったプレイヤーが勝ち。

日本におけるポーカーの現状

ルールの誤解

日本では、クローズド・ポーカーと呼ばれるポーカーがプレイされているが、日本では多くの場合間違ったルールでプレイされている。日本ではカード交換を行なった後に一度だけベット(チップの賭け)を行なう。しかしカード交換後のベットでは、プレイヤー達は自分の持っているハンドの強さに応じてゲームから降りるかどうかが決定できるので、戦略性やギャンブル性が少ない。

それに対し本来のルールでは、カード交換の前と後の二回ベットを行なう。一回目のベットではまだカード交換が行なわれていないので、どのプレイヤーも自分の手札が最終的にどのくらい強くなるのかを知らない状態で賭けなければならない。

プレイヤー達はこのような不確かな状況で、他のプレイヤーの動きを見て、勝つ為には自分の手札をどのくらい強くしなければならないのかを判断する。そしてその判断に応じてゲームから降りるのかどうか、賭けるチップの枚数をどうするのかといった事を決めなければならず、戦略性ギャンブル性が高い。

日本のようなカード交換後にしかベットがないルールではこのような駆け引きが存在しない為、このようなポーカー本来の面白さが失われてしまっている。

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